貫名菘翁　ぬきなすうおう（1778–1863）は、江戸時代後期の儒学者・書家・文人画家である。徳島藩士の家に生まれ、大坂の懐徳堂で中井竹山に師事し、経学・史学を修めた後、京都で私塾「須静堂」を開き朱子学を教授した。書は幕末の三筆の一人として高く評価され、文人画でも名を馳せたが、自身は儒者としての立場を重んじ、学問によって生計を立てた。晩年は「菘翁」と号し、京都下賀茂で隠居生活を送り86歳で没した。 この作品は氏が82歳の時の書。 「吟詩許更過吟詩許更過」詩を吟じて更に過るを許す。杜甫の五言律詩「宋員外之問の舊庄を過る」の漢詩とされる。